《MUMEI》 「──いやー、綺麗なもんだなぁ」 「うん」 「っと‥、あれって──織姫と彦星‥だっけか?」 「そう。──それで、あの白鳥座を繋ぐと──」 「夏の大三角形になる訳だ」 にぱっと笑って、こーちゃんが私の言葉を引き継いだ。 「アレだよなぁ、1年にいっぺん──しかも河挟んでしか会えねーなんてさ」 「こーちゃんだったら‥どうする?」 「俺‥?」 「好きな人がいて──1年に一度しか会えなくて──‥やっと河の向こうにその人を見つけたら‥」 「泳いで渡るな」 「河を‥?」 「おう。そんで──ソイツと夜逃げする」 「夜逃げ‥!?」 前へ |次へ |
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