《MUMEI》

「ココ…かな…」

あの、昨晩届いたメールにあった場所の周辺に来てみたけど…。

僕に昨晩届いたメールは全部英語で書いてあったんで辞書を引きながら文字を読んでいったんだけど、最初に思っていたのとほぼ同じ意味だったんでホッとした。

だけど…こんな歳になって勉強不足を実感するなんて…な。

まさか僕が海外で生活するなるなんて事になるとは思わなかったから…。




辛うじてメールに書いてあった店名を見つけて、ちょっと遠巻きにそこを覗き込むと、そのカフェのオープンスペースにひときわ美人なアジア系の人が座っていた。

(昨日会ったあの人だ…男の子だよね…)

昨日は帽子をかぶってて分からなかったけど…綺麗で長い黒髪をひとつに束ねていて、身長は僕と同じくらいかちょっと低めで、顔は何だか流行のアイドルみたいな人だった。

その美人さんは近くまで来た僕に気付くと、にっこり笑ってこっちに向かって手を振ってくれた。

「アキラ〜こっちだよ♪」
「ぁι…林くん///」

明るくて人当たりの良さそうな林くんは、若干緊張気味な僕に向かってニコッと微笑んでくれた。


「来てくれてありがとアキラ♪」
「え…えへへ///」

林くんはこっちに来たウェイターさんにさっさとドイツ語で何か注文すると、足を組み直して向かいに座った僕の方に向き直った。

「林くん、ドイツ語出来るんだ…よね」
「ん、ジェイミーって呼んでよ、キミのパートナーはドイツ語話さないの?」
「うん…克哉さんは日本語で話してくれるから…」

克哉さんは僕に合わせてなのか、家では日本語で話してくれるけど、たまにくるみちゃんとドイツ語で内緒の話をしている時があった。

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