《MUMEI》
恋歌
.


天草はよくわからないという顔をしたが、あまり興味がなかったのか、再び本を眺めはじめた。

俺もそれを覗き込む。

分厚い『コキンワカ』の本には、たくさんの歌が載っていて、そのページの見出しには、『恋歌』と書かれていた。





「…………『コイノウタ』?」





小さな声で読み上げると、天草はハッとして本を両腕で隠した。

俺は赤く染まった天草の顔を見る。


「恋の歌を、読んでるの?」


俺の質問に天草は小さく頷いた。

その、真っ赤な顔を見ていると、

なんだか、落ち着かなくなった。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫