《MUMEI》
春日グループの認知度
「春日グループの詳しい説明は省かせてもらうが、構わないな?」


忍の言葉に、俺以外の全員が頷いた。


(さすがにわかるよな)


柊の両親の職場と春日グループの系列会社は繋がりがあるし


頼の彼女、エイミーの亡くなった父親の職場も、春日グループと契約していた。


それに


春日グループがスポンサーとなっているブランド商品は、志貴の両親のショップにも入っているし


春日グループの傘下の企業のCMを、テレビで観ない日は無かった。


だから、何の繋がりのない希先輩や、厳でも


一般人でも


春日グループの名前位は誰もが知っていた。


「…だから、祐也の事を秘密にしたの?

それに、ペットって、何?」


うつ向いていた志貴は、ようやく顔を上げた。


「あのさ、多分その、当主って結婚してたし、子供もいたよね」

「お前、そういうの詳しいよな」


厳が続けると、頼は感心したように、呆れたように付け加えた。


「まさか、うちみたいな事情じゃないですよね?」

「それは、無いよな? 祐也」


恐る恐る言う希先輩の肩を抱く柊は


どこか、不安げだった。

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