《MUMEI》
祐也の知らない過去
(皆混乱してるな)


俺は、とりあえず希先輩の質問には、首を横に振った。


俺にはまだ余裕があった。


「そんな余裕も今のうちだ」


ドキッ


心を読んだかのような忍の発言に、俺は過剰に反応した。


(いよいよ、…か?)


忍が言っていた


俺が知らない、俺の過去


「まずは、祐也の両親の話をしよう」

「俺の、両親なんて…」


(どうせ、大した人間じゃない)


俺を産んで、傷付けて去っていった母親


全く知らない父親


「俺も、お前の両親には関心が無かった。

お前の顔を見るまでは」

「それ、どういう…」

「これが、お前の母親だ」


そう言って、忍が取り出した一枚の写真


自然と全員が席を立ち、食い入るように見つめたその先には


俺に、驚くほどそっくりな


黒髪黒目のコンビニ店員がうつっていた。


「『顔を見て』…て、藤堂さんの知り合いなんですか?」


希先輩の質問に


「あぁ。彼女は


姫華(ひめか)『様』は、也祐様の


親友だった方だからな」


忍はきっぱりと答えた。


俺は…


忍の言葉が全く理解できず、固まった。

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