《MUMEI》 「落ちねーようにしっかり掴まってろよー?」 こーちゃんが、私の方を振り向いて言った。 途端にスピードが上がって‥私はこーちゃんの腰にしがみ付く。 「ねぇ‥?」 「ん‥?」 「私‥‥‥」 大きな背中に耳をくっ付けて、こーちゃんの鼓動に耳を澄ませる。 「私‥」 次の言葉が、出てこない。 「みかん‥?」 こーちゃんが、振り向いた。 ‥でも私は、答えられない。 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 伝えたいのに。 ちゃんと‥伝えたいのに。 「──なぁ」 「ぇ」 「海──行ってみっか」 「海‥?」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |