《MUMEI》
祐也の母親
「姫華様の本当の苗字は神坂(こうさか)。

神坂家は家の歴史や血筋からいけば、春日家以上の名門だ。

姫華様はそこの令嬢だった。

しかし、この写真の時には普通の生活を送りたいという理由で一族から抜け、新たな苗字を

田中を名乗っていた。

そして、祐也の父親と出会い、恋をして

結婚の約束をして





裏切られた。





そして、祐也をホテルに産み捨てた後





自殺した。





祐也をホテルに残したのは、祐也には生きて欲しかったからだ。


ナイフを置いて祐也に傷を負わせたのは、祐也の泣き声を聞いて、誰かが来てくれる事を期待したからで


祐也がいた部屋は窓もドアも全開だった」


(そんな、事。今更言われても…)


もう、どこにも存在しない母親。


俺にそっくりで、也祐の親友で


恋人に裏切られて、俺を残して、自殺。


でも、俺には生きて欲しかった母親。


自殺しておきながら、俺には生きて欲しかった母親。


それは、どこか


旦那様に


也祐に通じるものがあり


俺は、不思議な感覚だった。

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