《MUMEI》

那加が、暴れ出した。





「ちょっとっ‥放しなさいよッ」





でも、それは本気で言っている訳じゃない。





だから、放さない。





こうして抱き締めてやると那加が安心するのを、俺はちゃんと知っているから。





「‥ひ‥ひなた」





那加の、呻き声。





「ひなた‥痛い」

「ぇ‥、ぁ‥‥‥悪い」





力入れ過ぎた‥。





「‥‥‥いたたたッ!?」





ぎゅううっ、と抱き締め返された。





「──お返し♪」

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