《MUMEI》

「日向もう書き終わったの?」





ずっと短冊に向き合っていた那加が、顔を上げてそう訊いてきた。





「見せて」

「ぇ‥まだ‥」

「何で〜?」





那加のホッペタが、膨らむ。





「いいじゃない、見せてくれたって」

「後で、な」

「む〜っ‥」





不満げにしながら、でも──それ以上ねだってはこなかった。





その代わり、無言になってしまった。





‥‥‥どうしようか。





ひとまず‥那加が書き終わるのを待とう。

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