《MUMEI》





「エニ・マクス」

ジンは手をかざしたままその言葉を紡いだ。

白い紙の表面が僅かに光の粒子を放つのを確認すると


紙の表面を滑らすように手を動かして握り締め、飛散して逃げようようとする粒子たちを手に閉じこめた。


ジンの紫水晶が暗く煌めく。



「このオーラは…」

ジンが手を開くと光は消えていた。


リツがジンの顔を覗き込んだ。

「で、どうだ?やっぱ術絡み…か?」


ジンは頷き、確かめるように指を擦り合わせた。

「ああ。おそらく、【魔鏡術】だな。でも…そんなに厳重では…」
リツを見上げる。

「………マキョウジュツ…」

リツは呟くと、あらぬ方向を眺め頬を掻いた。


「まさか…お前」
ジンの表情が呆れに歪む



「マキョウジュツって…」

「何だっけ?…とか言うなよ?」


「………わりぃ、言う。」

リツが笑いながらポリポリと頭を掻く。





ジンは盛大な溜め息を吐いた。






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