《MUMEI》 ※ 「エニ・マクス」 ジンは手をかざしたままその言葉を紡いだ。 白い紙の表面が僅かに光の粒子を放つのを確認すると 紙の表面を滑らすように手を動かして握り締め、飛散して逃げようようとする粒子たちを手に閉じこめた。 ジンの紫水晶が暗く煌めく。 「このオーラは…」 ジンが手を開くと光は消えていた。 リツがジンの顔を覗き込んだ。 「で、どうだ?やっぱ術絡み…か?」 ジンは頷き、確かめるように指を擦り合わせた。 「ああ。おそらく、【魔鏡術】だな。でも…そんなに厳重では…」 リツを見上げる。 「………マキョウジュツ…」 リツは呟くと、あらぬ方向を眺め頬を掻いた。 「まさか…お前」 ジンの表情が呆れに歪む 「マキョウジュツって…」 「何だっけ?…とか言うなよ?」 「………わりぃ、言う。」 リツが笑いながらポリポリと頭を掻く。 ジンは盛大な溜め息を吐いた。 ※※※※※ 前へ |次へ |
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