《MUMEI》
平和
『泣き虫 窓』

私は窓。われわれ窓の命は何百年と長い。


私は長い間、悲しいことばかり見てきた。

いつも涙で雲っているので、仲間から「泣き虫 窓」と呼ばれている。


それは、ここに住んでいた優しいおばあさんが病気で死んでしまったからだった。

いつも私を磨いてきれいにしてくれ、私にいろんな話しをたくさん聞かせてくれた尊敬するおばあさんだった。


それから、明かりのつかない暗い窓だった。



ある朝、私のそばに一羽の小鳥がやってきた。


それはそれは、とてもきれいな羽根をした小鳥だった
「チュッ!チュ!」

私に話しかけてきた。

「悲しそうな窓さん、元気だして。

チュ!」



わたしはその可愛い小鳥に恋をしてしまった。


毎日毎日彼女がやって来るのが待ち通しかった。




冷たく厳しい雨が降っている時もやってきた。


「こんな時までこなくていいよ心配だから」


「だって泣き虫で淋しがりやさんだから休まずきたのよ」


しかし、その日はあまりにも冷たく厳しい雨の日だった。


彼女は疲れて目を閉じて
眠ったまま下に落ちていった。



一日中、雨はやまなかった

翌日晴れた朝


一人の女のこが動かない小鳥を見つけて、街路樹のそばに何かの種と一緒に埋めていた。




わたしはしばらく、

曇った窓になってしまった



ある日、あの地面から大きなひまわりが咲いていた。


私のほうを向いて咲いていた。


私は少し元気になってきた。





それから、戦争がやってきた。



遠くから避難してきた家族がこの部屋に住むようになった。



一人の明るく陽気な女の子が私にほほを付けて外を毎日見ていました。



私はその温もりにドキドキしました。




しかし、そのこは、
「自由に外で遊びたいな」と言っていました。






ある日、怖い兵隊がたくさんやってきて、みんなを連れて行きました。






少女は車に乗る前に、見上げて私に手を振ってくれました。




しかし、



二度と帰ってきませんでした。




戦争が終わり、街に平和が戻ってきました。




私はいまでも涙で曇った
「泣き虫 窓」です。




戦争もいじめもない世の中になったら泣き虫を卒業します。




見上げてください、




曇った窓を見つけたら、
それはわたしです。




みんな、いい子になって




私のそばにやってきてください。




その時を楽しみにいつまでもまっています。





いい子のみんなへ!





泣き虫 窓より



作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫