《MUMEI》
狼猛攻
タン、タン、ガンガン、ギィィン・・
狩月たちから離れ、森の奥へと移動しながら斬り結ぶ。
二人の影がぶつかるたびに大きな音と共に火花が散る。
「焼き払え、ファイア!!」
ボンカー、想花が術を連続で起動し、ごまとバンプに向かって放つ。
ごまとバンプ、決定的に防御力が違う。
ごまは全ての術を無視してひたすらバンプに攻撃を仕掛ける。
対するバンプは爪で打ち払い、移動し、避けることも考慮しているため攻めきれず、防戦色が強くなってきている。
「マジックショット!!」
飛んできた光弾を爪で打ち払い、ごまの斬撃を後ろに跳び避ける。
「グルルルルル・・・」 「ファイアボール!!」
木から木へ、執拗に追いかけてくる術を避けながら、間合いを詰め、ごまと斬り結ぶ。
「きゅ!!」 「がぁあああ!!」
互いがぶつかり、互いが衝撃に吹き飛ばされる。
トンっと軽い着地音を響かせ、構え直すバンプ。口元には楽しそうな笑み。
「一撃くらい・・・入ってないきゅ?」
2,3歩後退したごまが、同じように構えを直しながらバンプに尋ねる。
「今の所、ごまのは喰らってない。もっとも・・そろそろ限界だ。」
薄い緑色の燐光がバンプの全身を覆うように散り始める。
「全力勝負って事かな?」
ごまの周囲にも暗緑色の燐光が漂い始める。
「そういう事だ。」
答えるバンプ。燐光は爪、牙、足に収束されている。
「きゅきゅきゅ〜それは、楽しみ。」
「があああああああああああああああ!!」
一際強く、燐光が煌く。
「砕刻ノ風、バンプ・クロムリト。いざ、勝負。」
構え、静かに、言い放つ。
「凶盾の剣、後退を知らぬもの、マータロット・ゴート。参る!!」
最後の一言、言い放つと、地面にズシリ、と亀裂が走る。
「フォロルカルフレイム!」 「集いて・・突き抜けよ。大地よ、槍と化せ!!アースランス!!」
炎が5つの火線となり二人に向かって飛び、地面が隆起し、巨大な槍となり二人を押し潰すように襲い掛かる。
ドガァァァン!!
轟音が響き、森が燃え盛る。
「当たった・・よね?」
「多分、当たった・・はず。」
土煙で視界が遮られ、よく見えない。と・・風が、否、狂風が吹き荒れる。
「ガああああああああああああああああああああああ!!!」
ドドドドドドドドドドドド・・・・
ごまとバンプが斬り結ぶ。隆起した大地はごまに当たり、砕けているが、鎧にすら届いていない。炎さえごまを避けるように広がっている。
対するバンプ。腕には炎が纏わり付いているが、それさえも速すぎる爪の速度に掻き消えていく。
双爪が踊り狂う。緑色の燐光を撒き散らし、ただ、ひたすらに止まらず、刻む。
ごまが振るう剣が、止まり、盾のように中央で立てられている。
さらに爪が荒れ狂う。
鎧といわず剣といわず・・刻み続け、金属音が一つの音楽のように謳う。ズルズルとごまを後退させていく。
「グォオオ!!」
大きく振りかぶった右の爪、左の爪の分の燐光まで吸い取り、大きな緑色の爪となった右の爪が空気すら切り刻み、ごまに叩き込まれる。
直撃・・剣と爪の間が歪んだ。そして、爆ぜる。
ごまの体が水平に吹き飛び、木に叩き付けられ・・止まらない。何本もの木をへし折り、飛ばされていく。
爆ぜた空気が周囲を扇状に抉り、木々がなぎ倒され、高位の術を使った後のような有様である。
「はぁ・・はぁ・・」
息を乱し、何とか立っている、そんな状態のバンプ。
「・・・・・・・・くそ、決め切れなかったか。」
ごまを吹き飛ばした方を睨みながら呻く。

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