《MUMEI》

──夜7時。





運良く、雲が晴れてくれた。





「日向っ、早くしてよ──間に合わなかったらどうするの?」

「ハイッ、ただ今‥」





突然、那加が天の河を屋上で見たいと言い出したから‥俺はあたふたしている。





「早くってばぁ」





もう、那加は待ち切れないみたいだ。





「日向っ、こっちこっち♪」

「ぁぁ」





──屋上には、俺達2人だけ。





本当に、2人っきりだ。





‥何だか‥いつもより心臓がうるさい。





2人っきりには、もう慣れているはずなのに。

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