《MUMEI》
*6* タ イ セ ツ ナ オ モ イ デ
──締切当日。





香坂さんが訪ねて来たのは、丁度──私達が朝ご食を済ませた頃だった。





「さ、じゃあ早速見せてもらおうかしら?」

「ぁ‥ハイ、色々撮ってみたんすけどね──まだ枚数絞り切れてなくて困ってんすよ‥」

「これは天の河──‥このアングルいいわね──。こっちは海?」

「ハイ、ちょっと前にみかんと2人で行って来たんすよ、丁度天気も良かったんで」

「そう──。やっぱり楽しそうね、あなたの写真」

「そっすか?」

「ええ。──でも──」

「何すか?」

「先月撮ったのより少し──曇ってるみたいな感じするのよね──」

「曇ってる‥?」

「ごめんなさい、悪いって訳じゃないの。ただ‥鮮やかさが少し欠けてるっていうのかしら──何かこう‥フィルターが1枚かかってるみたいな感じ」

「‥‥‥‥‥‥‥」





こーちゃんは、写真の1枚1枚を見比べて‥難しい顔をしていた。

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