《MUMEI》

「何よ、文句ある?」

「ぃゃ、でも‥」

「『でも』‥?」

「那加は姫サマだし‥」

「彼女でもあるんだから」

「だけどな‥?」

「反論却下」

「ぅ‥」





反論じゃなくて‥心配なだけなんだけど‥。





「で、日向は何になりたいの?」

「‥俺‥?」

「うん」

「俺は‥‥‥」




俺は何になりたいんだ‥?





‥あまり考えた事なかった。




何になりたいとか、そういう事よりも‥那加とどう過ごすか、って事の方が俺にとっては大切で‥。





自分の夢を真剣になって考えた事なんか、なかったんだ。

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