《MUMEI》

「晃君?」

「スイマセン、何か俺──‥最近‥変なんすよね‥」

「悩み事?」

「ぃゃ、そーでもないんすけど‥何つーか‥」





そこまで言って、こーちゃんの声が止まる。





「‥‥‥‥‥‥‥」

「大丈夫よ、あなたが暗い顔してどうするの?」

「‥‥‥ぁ‥、そっすよね──」





苦笑したこーちゃん。





ちょっとだけ、いつもの顔に戻ったみたいだった。





私は、そんなこーちゃんを少し離れた所から見ていた。





何だか、あんまり近付いたらいけないような気がした。





──どうしてだろう。





どうして──‥。

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