《MUMEI》

「夢ね──」

「よく分からないんですよね、何か‥考えてはみてるんですけど‥」





でも‥考えれば考える程分からなくなる。





「焦る事ないんじゃないかな」

「ぇ──」

「ゆっくり見つければいいと思うよ?」





優しく語りかけてくる戸田先生。





「那加ちゃんだって──すぐに『看護師さんになりたい』って思った訳じゃないと思う。──私もね、随分悩んだの。『何になりたいんだろう』──『私の夢って何なんだろう』って」







戸田先生の話を聞く内に、気分が楽になってきた。





「榛野君がこうなりたい、って──そう思える時が必ず来る。その時期が来るのは人それぞれだから──焦る事はないの」

「──はい」





何だか、心が軽くなった。

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