《MUMEI》 ・・・・「いま王都を騒がせている事件、貴方も耳にはしているはずだ。軍はこれの始末に手こずっていまして、ツヴィ殿のお力をお借りしたく私たち二名が使いとして参った」 「ふむ・・・御足労かけたな。しばし待たれよ」 男は納得したように頷くと、労いの言葉を残し屋敷へと戻っていった。警備の男が消え、二人の騎士はほかの警備たちの監視がついた。 門は今なお開かれておらず、エドは門の向こう側にある手入れの行き届いた庭を眺めている。巣のある木の枝で休憩をとる親鳥、宙で戯れる子鳥たち。エドは自然と笑みが零れるが、すぐに表情は戻り、眉根を寄せた。 無骨な男が視界に入ったからだ。せっかくの絵が武装した男のせいでぶち壊されてしまい、瞬く間に汚れてしまった。加え、あろうことか男は子鳥たちを得物で振り払っている。 「これだから個人に雇われた奴は・・・・愛でる心を持ち合わせていないみたいだな」 「放っておけ、相手にしたところでどうにもならないだろ。奴に裂いた時間が勿体無い」 腕を組み、門に背を預けていたカイルは興味なく言った。 むかっ腹の治まらないエドは目に映る男を睨み見る。 「いーや、我慢できることじゃないあれは。仮面の男をとっちめたあと、あの野郎に灸をすえてやる」 憤るエドの隣で我関せず。カイルは目を瞑り顔に古傷を残した男の帰りを静かに待っていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |