《MUMEI》

「あの、姫サマ‥もういいデス‥」





そう言ったんだけど。





那加は、まだ俺の頭を撫でるのをやめない。





「姫サマ‥?」





何だか、やっぱりくすぐったい。





ちょっと嬉しい気もするけど──。





那加がこんな風にしてくれるのは初めてだし、那加がこんなに優しい顔をしているのも初めてだ。





「日向で我慢してあげる」

「?」

「今はまだ飼えないから」

「───────」





まだ、那加は色々我慢しないといけない事がある。





まだ、乗り越えないといけない事がある。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫