《MUMEI》 . 色もなき 心を人に そめしより うつろはむとは 思ほえなくに −−−どんな色にも染まっていなかったわたしの心を、あなた色に染めた時、その色が褪せてゆくなど、考えたこともなかったのに。 一節を読み終え、俺は顔をあげる。 「………どこが?」 尋ねると大介は興奮したように言った。 「だって、あなた色に染まったとか、なんかエロいじゃん!」 …………なんでそういう発想になるかな、コイツは。 俺は、そーだねー、とテキトーに返事をする。 アイコは興味が沸かなかったのか、自分の髪の毛をいじって、枝毛取りを始めていた。 大介はニヤリと笑い、俺に言う。 「お前も染まっちゃったワケ?例の図書委員さんに!」 言葉を濁していたが、それが天草のことをさしているのはバレバレだった。 . 前へ |次へ |
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