《MUMEI》 . 俺は、まさか、と肩を竦める。 「教養を深めようと思っただけ。人生の負け犬になりたくないからねー」 テキトーにあしらってみたが、大介は取り合わず、「ハイハイ」とバカにしたように笑った。 そこでアイコが口を挟む。 「なに?図書委員て、なんの話??」 俺はアイコを無視し、また本を眺めだした。天草のことを説明するのが面倒だった。 大介も、「アイコには関係ない話〜」と笑って言う。 アイコは俺たちに仲間外れにされて、すっかりふて腐れる。 「なによ、教えてくれたっていいじゃん!ケチ!!」 ぷいと顔を背けて、どこかへ行ってしまった。 アイコの様子を見て、大介はケラケラ笑っていた。 俺は俺で、呑気な二人に呆れて、ため息をついた。 . 前へ |次へ |
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