《MUMEI》

食事の後かたづけをしながら、お風呂から漂ってくるソープの香りとシルエットでお風呂に居るさくらの姿を想像して、思わず顔がニコニコしてしまっていた。


さくらに喜んでもらえて良かった…。

もっと喜んでもらえるように、日本の料理を勉強しなくちゃな。


ドイツの料理はじゃがいもとベーコンをミックスして煮るか、肉を放り込んで焼くか、ビネガーを使った酸味のある料理ぐらいしか無いから、色々と勉強になるなぁ。


買ってきた日本料理の本をパラパラとめくって見るだけでも、食材はいっぱい種類があって色とりどりで、綺麗なお皿に盛りつけられたそれはまるでフランス料理のようだった。

それに、やっぱり日本らしく僕はあまり見た事が無い”魚”を使った料理なんかがいっぱいあって、僕には新しく覚えなきゃいけない事がたくさん…。



こんな歳になって、勉強する事が増えるなんて…思ってもみなかった。

…今までそんなに勉強した事も無いんだけど。

(さくらがお風呂から上がったら、このお礼を言わなきゃな)

さくらは何の事か分からないだろうけどね。




「まだ片付けてんの?」
「オゥ!さくら♪」

食器を洗い終わって片付けていたら、ちょうど風呂から上がったさくらが後ろから話しかけてきた。

「終わりです、フィニッシュ♪」
「そう、喉乾いたな…フィール サースティ」
「どうぞ///」

ちょうど手元に持っていたグラスをさくらに渡そうと振り返ると、うっすらとピンク色になった頬が可愛らしく輝いていた。

「カワイーさくら〜♪」

そんな風呂上がりの可愛いさくらを抱きしめようと腕を広げたら、スルッと上手く避けられて、手元のグラスをサッと持ってかれてしまっていた。

きっとコレが有名な”ニンジャーテクニック”なんだろうな…。
  

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