《MUMEI》 「──スプーン持てっか‥?」 心配そうに訊いてきたこーちゃん。 私は、頷いてスプーンを持ち上げて見せる。 そうしたらこーちゃんが、やっと安心してくれた。 ──私の火傷は、思っていた程じゃなかった。 時間がかかるって言われたけど、さほど酷い火傷じゃなかった。 ‥だけど。 私は、少し後悔していた。 ‥火傷をした事じゃない。 ‥こーちゃんを‥泣かせた事。 「──────‥」 「みかん? どーした?」 そう訊いてきたこーちゃんに、私は‥何も答える事が出来なかった。 前へ |次へ |
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