《MUMEI》

私が──‥。





私が、こーちゃんを泣かせたんだ。





「俺さ‥」

「‥ぇ」

「このままじゃマズいって思ったんだ」





こーちゃんの声が、いつもと違う。





いつもの、明るい声じゃなくて──重みのある‥真剣な声。





「だから‥写真を燃やせば、断ち切れんじゃねーかって」

「!‥」





こーちゃんは‥燃やしたかった訳じゃないんだ‥。





独りで悩んで‥抱え込んで‥どうしたらいいのか分からなくて‥。





モヤモヤした何かを、断ち切る為に‥‥‥その為に‥大切な写真を炎に入れたんだ。





‥どんなに辛かっただろう。





‥どんなに‥。

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