《MUMEI》

「いいか…眼球組織の仕組みについては簡単にしか言わないから、それについては授業で聞いたこと思い出せよ?」


「I see」


「なんだ?全部その言語で説明してやろうか」


「ゴメン」


「…真面目に聞けよ?」



ジンは(全国民が五才を迎えると配付される)腕時計状の機械
--F's LIGHT--を操作して

幾つかのデータホログラムを取り出した。

そして球体のデータをリツに放った

リツはそれを両手の平に乗せ
受け取った球体の中で自由に動き頭を掻く自分を楽しそうに眺めた。

ジンが説明を始める。

「物体を見ることができるのは目に入った光を瞳の組織がうまく屈折させて」


「うわ…すげぇ」
球体の中のリツの目元が拡大され、内部組織が透ける。



「それが網膜に映し出されて視神経を伝わり脳へ信号が送られるからで…わかるな?」


「ああ。今、分かった」



ジンはまたも小さく溜め息を吐いて、続けた


「…でも」

F's LIGHTを操作する。


「あ」

球体に立方体が現れそれを見つめるリツが映り、その横に鏡が現れた。



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