《MUMEI》
高山厳視点
(ヤバいだろ、これは…)


祐也の両親


特に父親がアルおじさんだとわかってから、俺の心臓はバクバクだった。


それは、正確には俺ではなく


隣にいる双子の頼の動揺が、俺に伝わってきたものだった。


もちろん、俺だってびっくりしたが、それは、ここまでではなかった。


むしろ俺が驚いたのは、その後


祐也が、この街に来るまでの、過去の話だった。


学校に一切行かず


接する人間は、わずか三人だけ


初めてのセックスは、普通なら小学校に通っていた年齢


レイプされたのも、普通なら、小学校に通っていた年齢


愛する人に拒絶されて、自殺されたのが、普通なら中学校に通っていた年齢


そして、祐也は今でもその人を忘れられず


ナイフ傷を人に見られてはいけないと愛する人に言われていたから背中に刺青を入れ


現在、…体は性的反応を一切示さない、不能状態


話が終わった時


俺と頼は同時に立ち上がり、祐也の帰りを待たずにホテルを出て、タクシーを拾った。


そんな俺に希が慌てて祐也が買ってきた弁当を押し付けたが


俺は、忘れたフリをして、二つの弁当をタクシーの中に置いてきた。

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