《MUMEI》

「──俺──お前と暮らして来て──思ったんだけどさ」

「うん‥」

「やっぱ──良かったな、って」

「良かった‥?」

「不良抜け出したばっかで、人目盗んでボロアパートに独り暮らし──‥何か悶々って感じでさ──たまたま雨宿りしようと思って公園に行ったら──滑り台の下にお前がいて──」

「私──ビックリしたな──あの時──」

「ははっ──ビビッてたよなぁ、お前」

「──こーちゃんはどうだった‥?」

「俺?」

「私見た時──ビックリした?」

「そりゃ──雨降りの公園でチビっ子が泣いてんだからなぁ」

「───────」

「でも、何か嬉しかったっつーかさ」

「そう‥?」

「だって──妹拾っちまったんだぜ? しかも今じゃこんなに立派になってよ」





嬉しそうに言って、こーちゃんはまた手を私の頭に乗せてきた。

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