《MUMEI》
限界……
.


イラつきをため息に変えて、俺は俯いた。


「こじれるもなにも、アイツと俺はそんな仲じゃ………」


言いかけたとき、大介が「あっ!」と声をあげた。俺が顔を大介に向けると、彼は混み合う廊下の先を見つめていた。


「ウワサをすれば、だぜ!」


なんのことかと思い、視線を巡らすと、


天草が、遠くにいた。


隣には、中村。


二人はなにやら話をして、時折楽しそうに笑い合う。

天草は、とても幸せそうだった。


大介はその様子を見て、素っ頓狂な声をあげる。


「なに、なに??カノジョ、浮気してるよ!?」


興奮したように、バシバシと俺の肩を叩いた。


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