《MUMEI》

「2人で──色んな所行ったよね」

「探検してみたりな──」

「こーちゃん、『新種の花だっ』とか言って──夢中になってシャッター切ってたよね」

「そーだな──」

「私、何回か肩から落ちそうになったりして」

「ははっ、俺がいきなりしゃがんだり走ったりしたからな──」

「──本当に楽しそうなんだよね──カメラ構えてるこーちゃんって」





立ち止まっては、シャッターを切って。





珍しい何かを見つけては、駆け出して。





私は、振り落とされないように──必死に君に掴まっていた。





ちょっと恐かったけど──楽しかったよ。





途中で駄菓子屋さんに寄ったり、ジュースを買ってもらったり──寄り道も沢山したね。





どれも、本当に楽しかった。





──でもね?





何より、君と一緒にいられる事が楽しかったんだ。

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