《MUMEI》

「──ただいま──」





病室を空けていたのは、2時間位だったと思う。





なるべく早く戻って来た‥つもりだったんだけど。





「おっそい」





那加は、待ちくたびれたらしい。





「どこまで行って来たの?」

「えっと‥‥‥駅前のショッピングセンター」

「ふーん‥」

「それで、これ那加に似合うと思って──」





浴衣を、広げて見せる。





「──ピンク‥」





那加の目が、輝いた。





「可愛い‥」





気に入って、もらえたみたい。

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