《MUMEI》
水瀬が先頭を歩く。
鏡に水瀬の顔が様々な方向から映り込んでいる。
「姉と何してたの」
「アイスクリームおごってもらって、メリーゴーランド乗った」
「うそー」
「本当」
水瀬と目が合う。
う、カワイイ。
「……そっか」
「また行き止まり!」
七生の声が響き渡る。
ムードも何もあったもんじゃねぇ。
「内館君達まだ出てないんだね。」
くすくす、という擬音が聞こえてきそうな笑い声だ。
「すっかり調子も取り戻してるし」
「クソじろーの声がした!」七生め、誰がクソだと?
「おーい、遅いぞー」
水瀬が七生達の方向へ走っていく。
「水瀬待って、靴紐が……」俺は屈んでほどけた靴紐を結び直す。
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