《MUMEI》

──ドライヤーの冷風が、こーちゃんの手が、私の髪を撫でる。





「───────」





久し振り。





こーちゃんに髪を乾かしてもらうの──何年振りだろう。





小学校を卒業する位まで、私は毎日──こーちゃんに髪を乾かしてもらっていた。





こーちゃんに髪を乾かしてもらう時、何だか凄く安心した。





こーちゃんは、私が風邪を引かないようにって──いつも念入りに乾かしてくれたっけ。





「──髪、ちょっと伸びんだな──」

「──うん」





何だか心地良くて──私は、ウトウトし始めていた。

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