《MUMEI》 色も、柄も、好みに合ったらしい。 でも、那加はちょっと浮かない顔だ。 「途中までしか行かないのにね」 「でも──」 今までは、外に出る事すら出来なかったんだ。 こうして許可が下りたって事は、回復してきている証拠。 だから、落ち込む事ないと──俺は思う。 それに、自分から行きたいなんて──今まで言わなかったし。 「日向」 「ぇ‥ハイ」 「ほんとに近付くだけしか出来ないかも知れないけど‥」 「──それで十分だと思う」 「‥そうかな」 「ぁぁ」 前へ |次へ |
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