《MUMEI》

──ふわり。





体が、浮くような感じがした。





私を包み込んでいる、温もり。





涼しい風が、流れてくる。





──私‥こーちゃんに抱き抱えられているんだ。





こーちゃんは‥私をベッドに運んでくれようとしているんだ。





──自分で行くよ──そう言いたいのに、口が動かない。





体も、動かない。





今にも眠ってしまいそうで‥私はこーちゃんの両腕に収まっているしかない。





少しして‥私は、ベッドに寝かされた。





けど、こーちゃんは‥まだ私の側から離れようとしない。





優しく──髪を撫でてくる。





「──ミツカ──」




私の名前を、囁く声が聞こえた。





『みかん』じゃなくて、『ミツカ』って‥。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫