《MUMEI》
自殺じゃなく…
リョウが苦しみ出してから、もうどれくらい経っただろうか。
そんなに経ってはいない筈だが、かなり長い時間のように思えた。
「ねぇ…大丈夫?」
痛みが退いたであろう頃合いを見て、加奈子は声をかける。
「なんとか…治まったみたい……。」
「よかったぁ‥。」
リョウはまだ息を切らしては いるが、もう苦しんではいない様で、加奈子は安堵した。
「思い出した…」
頭を抱え込んでいた手をゆっくり離すと、リョウは立ち上がった。
「思い出したって?」
「さっきの‥ニュースに出てた女の人だよ。」
「あぁ…自殺したって報道されてた?」
「そう。でも…でもそれは自殺じゃない。殺されたんだ!!」
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