《MUMEI》
グラウンドの二人
.


正直、面倒臭かった。


ヤること自体もそうだけど、アイコの場慣れしたわざとらしいHには、もうずいぶんと辟易していた。


でも、


確かに、アイコを抱けば、少しは気が紛れるかもしれない………。





いろいろ考えて、頷こうとした、



−−−そのとき、



不意に俺の視界に、うつった。





グラウンドで、野球部員が柔軟体操していた。





その中に、



あの、中村がいた。



中村は座ったまま両足を揃えて伸ばし、黙々と前屈をしている。



なんの変哲もない、部活の風景。



興味のない俺は、中村から目を逸らそうとした…………、



その、瞬間に。



中村に駆け寄っていった人影に、気づく。



…………それは、



上下とも野球部指定のジャージを着ていて、

長い茶髪をポニーテールにした、

小麦色の肌の、健康的な身体つきの、



女子生徒。



.

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