《MUMEI》

「みかーん、支度出来たかー?」

「うん、ぁ‥ちょっと待って──」





浴衣の懐に、写真を1枚忍ばせる。





ずっと、アルバムに入れて大切にしまっておいた写真。





──あの日見た虹の写真。





「おっ、似合うじゃん☆」





着付を済ませた私を見るなり、こーちゃんがカメラを向けてきた。





「!‥」





恥ずかしくなって‥カーテンの陰に隠れたら。





「みかーん、祭始まっちまうぞー?」

「うん‥」





出て行くしかなくなった私。





仕方なく、カーテンを開ける。





──その途端。





「いっただきー☆」





やっぱり、こーちゃんはシャッターを切っていた。

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