《MUMEI》

「もぅ‥こーちゃんずるいよ‥?」

「言ったろ? 『シャッターチャンスは逃さない☆』って」

「今の、わざと私に出て来るようにしたでしょ──」

「ぁ‥ははっ、バレてたか」





あどけない、笑顔。





「さぁてとっ、ほんとに始まっちまう前に行きますかっ」





威勢良く言って、こーちゃんが手を差し延べてきた。





たぶん、さり気ない事で‥こーちゃん自身は意識した訳じゃないんだと思う。





だけど私は、どぎまぎしてしまった。





「どーしたみかん? ぁ‥まだ火傷‥」

「ううんっ、もうほとんど治ったから──」

「繋いでも大丈夫か?」

「‥‥‥うん──」

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