《MUMEI》

「──那加っ、お待たせ」

「‥‥‥それ‥」





俺が持っている物を見て、那加が目を円くした。





「‥わたあめ‥」





目が、キラキラし出した。





「‥何、で‥?」

「一緒に食べようと思って」

「‥どこで‥?」





訊いてきた那加にわたあめを渡して、空いている方の手を握る。





「ちょっ‥どこ行くのよ」

「すぐ近くだから。静かな所の方が落ち着くだろうし」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「──ほら、あそこ」

「‥誰もいない‥?」

「ぁぁ、誰も」

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