《MUMEI》

次に回ったのは、リンゴ飴の屋台。





それから、クレープに‥たい焼き──。





色んな屋台を、次々とハシゴするこーちゃん。





でも、自分の物は‥まだ何ひとつ買っていない。





「っし、次は──」

「こーちゃん」

「?」

「ぽっぽ焼き──向こうでやってるよ?」

「ぁぁ──まぁ取りあえず近場から攻めてコーかなってさ」

「───────」





──違う。





君は私の為に‥わざとそうしているんだ。





本当は、お腹が空いているはずなのに。





少しでも私に楽しんでもらおうとして、私の好きな物を買ってくれている。





「どーした? もう腹いっぱいか?」

「ううん‥」





‥どう言えばいいんだろう。





こーちゃんにも、楽しんでもらいたい。




そう伝えるには‥どう言えばいいんだろう‥。

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