《MUMEI》

「ぅぉっ‥いって頭‥」

「大‥丈夫‥?」





一気に食べたから‥頭がキーンとなったみたい‥。





「──なぁ──」

「‥ぇ」

「腹膨れてきたし──あっちの方も行ってみね?」

「───────」





向こうには、金魚掬いや射的の屋台が並んでいる。





「──ぉぃ、アイツって──」

「?」





囁き声が、聞こえた。





「アイツ───スズハラじゃねーか‥?」

「やだっ‥マジで‥?」

「!‥」





‥こーちゃんの事‥恐がってる‥。





「つーかアイツ‥子連れなのか‥?」

「ぇ〜? あれ妹でしょ」

「妹‥?」

「何でも、拾って来た子と一緒に暮らしてるって──」

「‥拾って来た‥?」

「アタシもよく知らないんだけどね──」





そんな会話を聞きながら、私は唇を噛んだ。





‥そう‥。





私は‥こーちゃんの本当の妹じゃない。





‥でも‥。





「っ‥‥‥‥‥‥」





こーちゃんが悪く言われて‥他人事だなんて思えない。





「‥‥‥‥‥‥‥」





‥繋いだ手を、ギュッと握り返した。

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