《MUMEI》

それにこうやって‥心配ばかりかけて‥。





「疲れたか?」

「ううん、大丈夫──」

「──よっ」

「‥ぇっ‥」





体が、浮いた。





「こーちゃん‥!?」

「おー、軽い軽い──」

「こっ‥こーちゃ‥」

「?」

「‥降ろして‥っ」

「何か浴衣歩きにくそーだしさ?」

「大丈夫だからっ、自分で歩けるからっ」





私は、必死だった。





まさか、こーちゃんにまたお姫様抱っこをされるなんて‥思っていなかった。





体中が熱くて‥心臓が煩くて。





「‥‥‥‥‥‥‥」

「──なぁ」

「‥ぇ」

「あそこ──何売ってんだろな?」





こーちゃんの視線の先には、雑貨屋さんみたいな印象の屋台があった。

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