《MUMEI》

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…………『心配』??


『応援』??


そんなキレイな気持ちじゃ、ない。


ここに駆け込んだときだって、


俺は天草が絶対泣いてるって思ってて、


そんで、傷ついてる天草に優しい言葉とかかけてあげちゃって、


あわよくば、抱きしめてみたりとか………





そんなことしか、考えてなかったのに。





浅はかな自分が、恥ずかしくなる。

『資格』がないのは、むしろ俺の方だ。

俺は拳を握りしめて、

それから、言った。


「………天草は、頑張ったよ」


ゆっくりとカウンターに近寄る。

その拍子に、カウンターの上に置いてあったペンスタンドに俺の手がぶつかって、喧しい音をあげながら、床の上に転がった。


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