《MUMEI》 隠しきれない動揺文化祭、一般公開二日目の朝。 部屋のドアを開けると、いつも通り、エイミーを迎えにきた頼と、エイミーに会った。 ちなみに俺は、弘也の件が片付いてからは一人で登校する事が多かった。 「おはよう」 「おはよう」 「おはようございます」 三人でかわすいつも通りの挨拶。 (でも、ないみたいだな) 頼は普通を装おっていたが、エイミーは、頼を心配そうにチラチラ見ていた。 「俺、先行くから。今日は劇頑張ろうな」 気まずくなる前に、俺は急いで二人から離れた。 「おっはよ〜、祐也!」 「おはよう、志貴」 校門にいた志貴は、異様にテンションが高く 「お前志貴さんに何かしただろ」 俺は教室で拓磨に絡まれた。 その表情は、頼を心配するエイミーと似ていた。 そして、文化祭二日目が本格的に始まり 「おはよ、田中君。劇頑張ってね」 そう言った希先輩も同じ表情だったが 「…」 (誰が見てもいつもと違うってわかるよな) 希先輩に促されても、柊は俺を見ようとせず 何も言わなかった。 「俺、劇の準備あるから」 その場にいたくなかった俺は、部室に向かった。 前へ |次へ |
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