《MUMEI》
意外な三人組
予定より遥かに早く着いたから、俺は荷物運びを手伝うつもりで部室に入った。


…の、だが。


「あ、田中君久しぶり」

「久しぶり〜!」

「…よう」


「お、久しぶりです」


(何で?)


中にいたのは


元部長の、宮崎先輩


宮崎先輩の彼氏の、大蔵先輩


そして、何故か大蔵先輩の天敵とも言える


龍さん、…だった。


「やっぱり驚くよな」

「ま、まさか…」


(大蔵先輩、ついに…)


「言っとくけど、俺がヤクザになる事は絶対に、死んでも、生まれ変わっても、これっぽっちも無いから!」

「そ、そうですか…」

「そんな事言ってられるのも今のうちだぞ、政宗」


(何で、龍さんそんなに自信…)


「あ、喉渇いた」

「冷たい麦茶買ってきます!」

「へ?」

「ペットボトル四つね」

「喜んで!」


(何で宮崎先輩が、龍さんに命令を?)


その光景に、唖然とすると


「私から政宗を説得したら、かわりに何でも聞いてくれるって言うから、とりあえずパシリになってもらったの」

「説得、してるんですか?」

「… 『演技』ではね」


そう笑う宮崎先輩は


龍さんより、遥かに上手だった。

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