《MUMEI》
小さな楽屋訪問者達
「何か、開演前にもう疲れたんですけど…」

「今年は主役じゃないから大丈夫でしょ」

「そうだぞ、だらしないぞ」


(痛い…)


小柄な外見からは想像できない強さで、俺は大蔵先輩に背中を叩かれ、よろめいた。


「やっぱり、いいな…」


(変態ぽいです、龍さん)


大蔵先輩を熱く見つめる龍さんに、俺はため息をついた。


「じゃあ、私達は最前列で見てるから!」

「え、楽屋には…体育館ステージ裏には来ないんですか?」

「もう引退したし、知らない子もいるからね」


こうして、嵐のように三人は去っていった。


そして、俺は今


衣装に着替え、楽屋を兼ねているステージ裏に来ていた。


もちろん、そこには頼とエイミーもいて、頼はエイミーにべったりで、俺に見向きもしなかった。


それはいつもの事のようで、いつもと微妙に違う光景だった。


そんな中


「お邪魔します」


貴志先生の妻の愛理さんと


「します」×4


初対面だが、どこかで見たことのあるような、四人の子供達が入ってきた。


(…何だ?)


その中で唯一の女の子の視線を俺はヒシヒシと感じていた。

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