《MUMEI》
突然のプロポーズ
「び…」

「『び』?」

「美脚〜!!」

「うわぁ!」


女の子は突然俺のふくらはぎあたりにしがみついてきた。


「何この白さ!キメ細かさ!細さ!バランス!すね毛の無さ!

完璧よ!

完璧私の理想の男の美脚よ!」





(まさか、この子…)


俺は、俺の太ももに頬擦りする女の子の顔を、改めて見つめた。


(似てる…)


その時


「…今私、壱子(いちこ)ちゃんが俊彦に見えたわ」

「さすが、親子だよね」


(…やっぱり)


女の子の顔は、俊彦さんによく似ていた。


ついでに、他の三人も似ていたが


頼と厳と同じ一卵性の双子は、俊彦さんの息子だが


残る一人


最年長の良彦(よしひこ)君は、俊彦さんの弟の雅彦さんの息子だと、愛理さんが教えてくれた。


その間、壱子ちゃんは、俺から


俺の足から離れなかった。


そして、そのまま彼女は爆弾発言をした。


「ねぇ美脚君!私と結婚しよう!!」





(とりあえず)


「俺の名前は田中祐也だよ」

「じゃあ、祐也!結婚しよう! 私が十六になったら!」


ちなみに、壱子ちゃんは今七歳で、俺より十歳年下だった。

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