《MUMEI》

言われるがまま、こーちゃんに花火を渡す。





「よしっ──見とけよ?」

「──うん」




私は頷いて、こーちゃんの手元を見つめる。





けど、なかなか点かない。





こーちゃんは、ジッとしたまま動かない。





「こーちゃん‥」





もういいよ──そう言おうとした瞬間。





「──ぁ」





点いた──。





「なっ、点いたろっ?」

「──ありがと──」




──綺麗。





「───────」





見とれてしまう。





本当に、綺麗──。

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