《MUMEI》 強引なキス. 板の間には、鉛筆やらサインペンやらが無惨にぶちまけられている。 「……わりィ!」 俺は慌ててしゃがみ込み、ペンを拾いだした。 「なにやってるんですかー」 それを見た天草は軽やかに笑いながら、俺の傍に寄り、しゃがんで一緒にペンを集めてくれた。 一瞬、沈黙が訪れる。 俺は顔をあげた。 目の前に、天草の顔がある。 長い睫毛。白い肌。柔らかそうな黒髪。 そして、形のよい、唇。 俺はペンを集めるのをやめ、それらをひとつ、ひとつじっくりと観察した。 俺の手が止まっていることに気づいた天草は、ふと顔をあげる。艶やかな黒髪が、サラッと揺れた。 . 前へ |次へ |
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