《MUMEI》 . 不思議に思いつつ、俺はメールを開いた。 そして、 眉をひそめる。 ****** 【色もなき 心を人にそめしより うつろはむとは 思ほえなくに】 ****** 短歌、だった。 そして、それは見覚えがある………。 あれは確か、 教室で『コキンワカ』を読んでいたとき、 大介が、見つけた歌………。 そして、 こんなマイナーな歌を送ってくるヤツは、 ひとりだけ。 「ごめん、アイコ」 携帯を見つめたまま、呟いた。 アイコは怠そうに、「え?」と眉をひそめる。 俺は携帯から目を逸らさず、 言った。 「好きなコ、出来た………」 . 前へ |次へ |
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